9月, 2012年

神式葬儀の心得

仏式のお葬式については、参列したこともあるし、
なんとなく予想がつくものです。

けれど、神式のお葬式となると戸惑うかたもいらっしゃるでしょう。

現代では神式のお葬式も仏式のお葬式も流れは大きな変わりがありません。
ですから、それほど気をもむことでもないのです。

とはいえ、気を付ける部分はもちろんあります。
呼び方のうえでもお通夜が通夜祭と呼ばれたり、葬儀を葬場祭と呼んだりと、
違いがあります。

仏式のお葬式では、「ご冥福を」「成仏してくださいね」「供養になります」という言葉を
よく用いますが、
神式のお葬式ではこの言葉は使いません。

「死」をどうとらえるか、の違いによりますので、
お葬式の席で、間違って使ってしまわないように気を付けましょう。

他に、神式独特の儀式といえば「手水の儀」というものです。
これは、お葬式に限らず、神道の儀式では必ず登場する儀式です。
神社にお参りに行くと、手をお水で浄化しますが、
身を清めるためのものです。

正式な作法は知らないかもしれません。
もしわからなくても大丈夫です。
係の人がいれば、作法を聞けば、きちんと教えてくれることでしょう。
また、周りの人の行動を見てまねるというのもいいと思います。

その場にいってあわてなくても済むように、
知識として知っておくのもいいのではないでしょうか。

神式葬儀と神棚の位置について

神式のお葬式では、最初に「神棚封じ」をおk内ます。
たとえ仏式でお葬式を行うとしても、もしご自宅に紙談があるときには、
神棚封じをします。

神棚は、不浄なけがれが入らないように、と、
お葬式の際にも細心の注意を払っています。

ですから、不敬にならないよう設置の場所や方向にも気を付けなければなりません。

神道でたっとばれているのは、「清く明るいこと」清明であることです。
神棚も、清潔で陰気にならない場所に設置します。

私たちの目線よりも、高い位置に、見上げる場所に設置するのが普通です。
神様を見下ろす、ということはできないんですね。

そして、騒々しい場所は神様も好きではないですから、出入りの多い部屋は避けるようにしましょう。

神棚の方角で、良いとされているのは「南向き」「東向き」「南東向き」の3方角です。
太陽は東からのぼり、南を通ります。
それが清明の方角、とされているのではないかと思います。

神棚は太陽の方角を向けるのがよい、と考えればわかりやすいかと思います。
古事記に登場する天照大御神は太陽神として伊勢神宮に祀られています。
それも、神棚の置き方に関係しているのではないでしょうか。

そうは行っても、昨今は住宅事情もあり、
理想的な位置におけない場合もあります。
その時には、鬼門の北東、不浄のトイレを避け、きれいな場所に置くようにすればいいです。

清潔で崇敬の念でお祭りするということがとても大切です。
そして、神様は忘れてしまうといなくなってしまうと言われています。
常にお祀りしていることも大切です。

神棚封じについて

神道での「死」のとらえ方は、仏式とは子泊まります。
死は、けがれ、と考えられています。

身内が亡くなると、人の「気」が「枯れる」ということから「気枯れ」となり、
その言葉が「けがれ」になったのが、本来の意味です。

ですから、けがれは汚いという意味ではありません。
けがれにより、残された家族の命、生命力が減退しないように、
「気枯れ」の死を浄化する、という思いがあるのです。

神道では、家族が亡くなると、神棚封じをします。

神棚に白い紙を貼って封印するのが神棚封じです。
この時、ピンは使わず、セロテープなどで貼り付けます。
これは、忌明けまで行います。
忌明けと同時に、白い紙を取り除き、封印を解除します。

この期間中は、神棚の扉も閉めておきます。
お供え、お神酒も、礼拝も、やりません。
神棚は、小さな神社と考えられていますから、神社と同じように扱っています。

死のけがれが神棚に入り込まないように、という意味です。
こういった意味合いもあり、神棚封じは本来喪家ではなく第三者が行うべき、とされてきました。
身内も「気枯れ」の状態にある、と考えられていたのですね。

とはいえ、最近では家族が神棚封じをやる、という場合もあります。
時代とともに少しずつ変わっていく儀式ですが、本来の意味も覚えておくとよいのではないでしょうか。

神式のお葬式の式場

神式の、葬場祭、通夜祭は自宅で行うのが普通でした。
ですが、仏式同様、住宅環境の問題の多い都市部を中心に、自宅では行わずに、
斎場を借りて行う傾向にあります。

通夜祭は、自宅、葬場祭だけを斎場、という形でお葬式を行う時には、
自宅で出棺のための儀式を終えて、葬列を作って式場に向かうのが正式です。
斎場を利用してお葬式を行う場合は、通夜祭から斎場で行うことも増えてきました。

式場の祭壇飾りは仏式とは異なります。
神道では、死は不浄のものという考えがあるため、
不浄を防ぐ意味で「忌竹(=いみたけ)」を斎場の四方において清めます。
(忌竹とは、葉のついた青竹にしめ縄を張って四手(しで)を垂らしたもの)

そして、祭壇の中央に棺が置かれ、
遺影、灯火、榊、お供物を添えます。

故人の名前や、官位は銘旗に記して立てます。

このように、一般的な仏式とは異なる部分もあり、
わからなくて心配に思うかもしれません。

この点は、葬儀社にお任せいただければ、間違いがありませんので、ご安心ください。

神式では、死を不浄のものととらえているため、
神聖な場所である神社でのお葬式はお声ませんし、喪家の方々も神社に立ち寄ることはできません。
そのため、自宅でのお葬式が一般的で、住宅事情によって昨今では斎場を使うことが増えてきた、
そのような背景があることも、知識として知っておくことも良いのではないでしょうか?

神式のお葬式につきましても、東京葬儀式社にて承っております。

詳しくはこちらをご覧ください。
>>宗旨・宗派からお葬式を考える

お通夜のもてなし -神式のお葬式

日本古来の宗教、神道ですが、仏教に力を注いできた歴史的な背景の中、
少数派になっていますね。

しかしながら、神道そのものは、初詣の参拝や、その他の儀式として、
今でも日本に存在しています。
神社もたくさん残っていることからもそれはうかがえますね。

それでも、お葬式に関しては、神式のお葬式はとても少ないのが不思議です。

神式のお葬式でも、お通夜のもてなしは仏式のお葬式と同じように行われています。
地域によって違いはあるものの、仏式で言うところの通夜振る舞いにあたるものも行われます。

「直会(=なおらい)」と呼ぶこともあり、その本来の目的、意味を考えてみますと、
仏式の通夜振る舞いとは、少し異なっているかもしれません。

呼び方はどうであれ、お通夜に参列いただいた弔問の方々をねぎらい食事やお酒をふるまう、
という点では同じです。

仏式と違う点は、神職に対する食事の接待がないことが多い点です。
また、神式のお葬式では喪家では火を使うことが禁じられています。

そのため、お通夜を自宅で行う場合でも、仕出し料理を利用します。

また、神道では精進料理である必要はありません。
ですから肉や魚が料理に使われていても問題はありません。

もっとも、最近では仏式であっても精進料理にこだわることも少ない傾向にありますので、
明確な違いはないともいえます。

柩前日供の儀 神式のお葬式

神式のお葬式は、実は仏式でのお葬式よりも儀式がいろいろとあります。
神道は儀式を重んじる宗教ですから、何かにつけて儀式が存在します。

納棺の儀から出棺までの毎日、必ず行う儀式があります。
それは「柩前日供の儀」です。きゅうぜんにっくのぎ、と読みます。
これは、朝と夕2回、故人が好きだったお米や食べ物を棺の前に備える儀式です。
その時に使う食器や箸も、生前個人が使っていたものを使って祀ります。

喪主や遺族は、二礼二拍手一礼で、拝礼をします。

正式には、拝礼の順番も決まっています。
喪主・ご遺族、喪主の順に拝礼し、最後に全員でもう一度拝礼します。

朝、夕、の儀式ですが、両方できない場合は朝のみ、ということもあります。
儀式の意味を知り、気持ちを込めて儀式に臨むのがよいと思います。

この儀式もふくめ、お葬式の儀式はすべて、故人にとってはたった一度のもの、なのです。
できることをきちんとやってあげて、悔いの残らないようにしたいものですね。

帰幽奉告の儀-神道のお葬式

神式のお葬式の儀式の中でも、
現在ではあまり行われないもの、簡略化されているものなどがあります。

帰幽奉告の儀も、そのうちの一つではないでしょうか。
この儀式は、祖先の霊に亡くなったことを奉告する儀式です。
神棚や祖霊舎に亡くなったことを告げ、その前に白い紙を貼り、故人が亡くなられた部屋にしめ縄を貼る儀式です。

正式には氏神様を祭っている鎮守神社に奉告をするのが習わしです。
亡くなった方のいる家族(喪家)のものは神社に入ることができません。
そのため、この奉告は代理のものを立てて行います。

たいていは世話役の方や、葬儀社に頼んだりします。
そのあとは、神官が奉告の儀式を行います。

特別に祈願した神社がある場合、「遥拝」といって遠いところから拝む形で、
祈願を説かなくてはなりません。

神式葬儀の特徴の一つで、「神様への奉告」という意味があるため、
できるだけ簡略化せずに行うといいのではと思います。

仏式のお葬式でもお通夜や葬儀・告別式といった儀式も時代や社会の変化とともに変わっています。
神式でもそれは同じで省略されたり簡略化されたりということがあります。

ですが、それは、儀式をないがしろにするということではなく、
ほかの儀式に含めて、お葬式の流れをスムーズにしたり、ご遺族の負担を減らしたりする、という意味合いもあります。

神式の儀式は日本古来のものであり、
伝統的に行われていた儀式ですからできるだけ忘れないようにしていきたいものですね。

納骨祭 -神道のお葬式

神式のお葬式でも、仏式と同様に火葬して埋葬をします。
神道のお葬式では、遺骨を埋葬した後「納骨祭」という、墓所を祓い清める儀式があります。

以前は、火葬が終わるとその日のうちに埋葬する、というのが習わしで、
納骨祭を終えた後「帰家祭」で神職から門にてお祓いをしてもらい、手水を清めて、
お葬式は終わり、でした。

ですが、現在では事情によって当日の埋葬ができないこともあります。
仏式では忌明けの49日のあたりで埋葬するのが習わしですが、
神式でもそれに合わせて五十日祭までに納骨をすることが多いです。

納骨祭は、神道でお墓の奥津城(=おくつき)に骨をおさめる際に行う儀式です。

墓所を清め、納骨をし、
神職によって納骨の祭司が奏上されます。

そのあと、玉串奉奠をし納骨祭はおわりです。

この納骨祭の後の儀式を上げますと、
五十日祭までは、毎十日祭や百日祭があり、
忌明けには祓い式、合祀祭があります。

更に年ごとに一年祭、三年祭、五年祭、十年祭、五十年祭というふうに続いていきます。
このあたりは仏式の法要と、年数が少し違いますが、似ていますね。

葬場祭-神式のお葬式

神式のお葬式に参列するという経験は、もしかしたら、一生ないままになるかもしれません。
しかし、日本人として生まれたことで、神道には知らないうちに、何かの形でかかわって生きているはずです。

初詣に行く、お宮参り、新築のご祈祷など、よく考えてみると、
様々な形で、神道の儀式とはふれあっていることがわかります。

ですが、お葬式は、大多数が仏式というのは、不思議なことですね。
最近は神式の葬儀を行う方も増えてきているようでから、もしかしたら、参列する機会があるかもしれません。

では、神式のお葬式の儀式の中の「葬場祭」について、お話いたします。
この葬場祭は、仏式で言いますと葬儀、告別式にあたる、と考えると、理解がしやすいです。

儀式の進行は次の通りです。

1)手水の儀
2)神職の入場
3)開会の辞
4)修祓(=しゅうばつ) 斎主が葬場・棺・供物・参列者などを祓い清めます。
5)奉幣(=ほうへい)、献饌(=けんせん) 斎主一拝のあと、神前に食べ物を備えます。
6)祝詞の相乗 故人の経歴、人柄、功績について述べます。
7)しのび歌の奏上
8)玉串奉奠
9)撤幣(てつぺい)、撤饌(てつせん) 
10)斎主一拝の後、神職者退場
11)葬場祭閉式の辞
12)一般会葬者の玉串奉奠
13)閉会の辞

遷霊祭 -神式のお葬式

神式のお葬式の儀式は、仏式のお葬式と似ている部分もあれば、
すこし違っているものもあります。

通夜祭の後に行われる、遷霊祭(=せんれいさい)は、その一つです。

遷霊祭は、亡くなった方の魂を「霊爾」に移すための儀式です。
霊爾という言葉は聞きなれないかと思いますが、仏式でいうところの「位牌」にあたるもの、と考えれば、
理解がしやすいのではないでしょうか。

この「霊爾」は、またの名を「霊代(=たましろ)」と言います。
遷霊祭は、故人の魂(=みたま)を霊爾に移す儀式ですので、「みたまうつし」とも呼ばれます。

現在は、遷霊祭は通夜祭のあとに行われるのが一般的ですが、
本来、それとは別の儀式で、夜、明かりを消して行うものでした。

霊代としては、神鏡、笏(=しゃく)、小剣で、
ほかに故人の愛用品が用いられることもあります。

この儀式をすることにより、故人の魂は、家の守り神になった、ということなのです。
そして、ご遺体は火葬、埋葬ができる状態になったことを意味します。

遷霊祭は、すべての明かりをけして行います。
斎主が穢れを祓い清める修祓を行った後、霊爾の表面を故人の顔にかざし、
遷霊詞を唱えます。

この瞬間、魂は霊爾に移った、とされます。

この儀式のあと、男性は「命(=みこと)」女性は「姫命(=ひめみこと)」という言葉を
生前の名前の下に付けて呼ばれるようになります。

また、高齢の場合、男性は「大人(=うし)」、女性は「刀自(=とじ)」となることもあります。
仏教の戒名にあたるもの、と考えると、わかりやすいですね。

この遷霊祭で魂を移した霊爾は、斎主により覆いをかけられ「仮霊舎」に安置されます。

そして明かりが付けられた後、一同は仮霊舎の前に座り、
遷霊祭詞奏上が斎主によって行なわれます。

おわりに、斎主、喪主の順に玉串奉奠と拝礼を行い、儀式がおわりとなります。

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